vol.06

Vol.06

看護師佐藤 春加 さん

「みんなの期待を背負って岩手から上京 懸命に学び、念願の看護師に!」

会った瞬間、その場の空気がパっと花が咲いたように明るくなる。そんな笑顔がステキな佐藤春加さんは、今年4月から神奈川県の病院で働き始めた新人看護師です。

「今は外科病棟で働いていて、入院患者の方のお熱や血圧を測ったり、採血、点滴、食事の配膳などを担当しています。最初に配属されたころは本当にいっぱいいっぱいで、患者さんに何か頼まれると『あっ看護師を呼んできますので、ちょっとお待ちください』なんて言っていたんです。自分も看護師なのに(笑)。でも、最近やっと仕事の流れを覚えてきて、少しずつ患者さんのお世話ができるようになってきました!」 現場での様子をイキイキと語る、その姿から看護師としての日々の充実ぶりがうかがえます。

岩手県の児童養護施設で育ったという春加さん。2歳から18歳まで施設で過ごしました。「小さいときから施設にいたので、そこが自分の家という感覚が強かったですね。でも、学校の友達には施設にいることをなかなか言えなくて、高校生の時とか隠していた時期もありました。ある時ふと、このままじゃいけないなって思ったんです。施設があるから今の私がいるのに、それを隠していることって学園に対して失礼なんじゃないか、もっと胸張っていいんじゃないかって思ったんですね。思い切って周りの友達に言うと、驚いてはいましたが、皆以前と同じように仲良くしてくれました。あの時から何だか吹っ切れた気がしますね」

様々な心の葛藤を乗り越え、より一層たくましい自分へと成長した春加さん。充実した高校生活も終盤にさしかかり、いよいよ進路を決定する時が来ると、周囲の先生から「春加は看護師が向いているのでは?」とアドバイスをされます。それまでは卒業後は就職しようかと考えていましたが、周りからの助言もあり、看護学校を目指すことに。ちょうど神奈川県の病院付属の看護学校の推薦枠があることを知り、一大決心をして応募することにしました。

周囲に支えられていることに感謝 自分も多くの人を笑顔にしたい!

しかし、願書提出の一週間前に、進学後に入居するはずの寮が閉鎖されるという知らせが......。今後の生活に不安を抱いた春加さんは悩みましたが、園長先生が「なんとかするから大丈夫!」と背中を押してくれ、急遽奨学金制度を探して手続きをしてくれたのです。

「本当にありがたかったですね。先生が後押ししてくれなかったら、あきらめていたかもしれません。期待して送り出してくれる先生たちのためにも頑張らなきゃ!って、身が引き締まる思いがしましたね」

新生活を始めるにあたって、やはり必要となるのが学費や生活費。奨学金が入ってくるとはいえ、まだまだ厳しいと感じた春加さんは、自ら看護学校の学校長に事情を説明し、学費の免除について交渉。学校長も快く了承してくれたのです。また、日々の生活費をどうしようかと悩んでいると、なんと元職員の先生方が「春加ちゃんを支える会」を結成。有志のボランティアを30人集めて、毎月一人1000円(合計3万円)を春加さんに送金してくれることになったのです。園長先生、看護学校の学校長、元職員の先生とボランティアの方たち。肉親の縁に恵まれなくても、その分多くの人から愛情をもらい、すごく幸せだと語ります。こんな予期せぬ恩恵があるのも彼女自身がどんなときもへこたれず、明るく素直に生きてきたからにほかなりません。

看護学校に入ってからも、アルバイトで生活を支えながら実習や学科の勉強に全力投球。病院での実習では患者さんの死に直面するなど、悲しい出来事もありましたが、看護師の仕事の厳しさを実感し、仕事への覚悟ができたと言います。「看護師になって間もないので、大変な目にはまだ遭っていません。これからつらいこともあるかもしれませんが、私はこの仕事を辞めないと思います。患者さんと触れ合うのが楽しいし、もっとたくさんの人を笑顔にしたい。それが私の生きがいのような気がするから」

( 記事提供/NPO法人ブリッジフォースマイル発行「Smile!」先輩たちの今  )