日本子どもの虐待防止民間ネットワーク 事務局長 兼田 智彦

Profile:学校教員をしながらボランティアとして、子ども虐待防止ネットワークあいちの設立にかかわる。その後、2004年から日本子どもの虐待防止民間ネットワーク事務局長。  著書:虐待から子どもを守る 明治図書

子どもたちの笑顔のために

子どもたちの笑顔のために

-虐待防止民間団体の活動-

 日本では、およそ3日に一人の割合で子どもの命が虐待によって奪われていることをご存じでしょうか?この実態を日本で初めて世に問うたのは子どもの虐待防止ネットワーク・あいちが1998年から取り組んだ虐待死の調査「見えなかった死」の出版でした。この出版をきっかけにマスコミが子どもの虐待死に注目し、2000年の児童虐待防止法の制定にもつながりました。
 その後、厚生労働省は虐待死についての統計を取るようになり、現在では「死亡事例等の検証」を行い、新たな犠牲者を出さないような対策を講じています。しかし、残念ながら2009年の現在もその実態はほとんど変わっていません。先進国といわれるところでは、社会のさまざまな課題を解決しようとする時、市民団体がその一翼を担うことがあたりまえになっています。

 子どもの虐待防止は一家庭の問題ではなく、私たち社会の抱える大きな課題です。日本では子どもの虐待についての関心が高まったのは1990年代に入ってからでした。最初に立ちあがったのは大阪の民間団体「児童虐待防止協会」でした。その後、1991年東京で「虐待防止センター」1995年愛知で「子どもの虐待防止ネットワーク・あいち」が立ち上がりました。
 2004年全国の虐待防止民間団体が滋賀県草津市に集まり「日本子どもの虐待防止民間ネットワーク」を設立し、協力して子どもの虐待防止活動に取り組むことを誓いました。全国の団体が最も取り組んでいることは、子育てに悩むお母さん、イライラしてつい子どもにあたってしまうお母さんの悩みの電話を通じて寄り添いながら聴く電話相談でした。この活動は、地域に根差した草の根の民間団体にとって、とても重要な活動です。日本子どもの虐待防止民間ネットワークはこの活動を全国で利用しやすくするため、財団法人SBI子ども希望財団のご支援を得て、2007年より「全国 子育て・虐待防止ホットライン」とし、NTTナビダイヤル「0570-011-077」の番号で24時間運用しています。全国各地の電話相談とナビダイヤルの利用件数は年間約11000件になっています。
 このほか、民間団体の取り組みは様々な形で行われています。 地域支援シンポジウム(北海道)、出前講座「出張おせっ会」(新潟)、母親グループ「チャット・チャット・クラブ」(宮城)、日本子ども虐待防止学会さいたま大会(埼玉)、MCG「母と子の関係を考える会」(東京)、国際シンポジウム(神奈川)、ほっとひといきママの会(長野)、掲示板相談(富山)、出前ほっとミーティング(石川)、電話相談(静岡)、メール相談(愛知)、出張子育てなんでも無料相談(三重)援助職交流事業「コモンセンス・ペアレント・トレーニングトレーナー養成事業」(滋賀)、子どもの村設立(京都)、家族再生支援(京都山科)子ども専用無料電話相談「キッズライン」(大阪)、子どもの安全を守るための教育教材開発「SAFEプログラム」(関西)、24時間電話相談(兵庫)、虐待防止講演会(鳥取)、連続公開講座(広島)、オレンジリボンキャンペーン(香川)、育児支援講演会(福岡)、虐待防止地域学習会「こんにちは」(宮崎)
 ここで紹介した活動はほんの一部です。日本子どもの虐待防止民間ネットワークのホー ムページから各団体の情報をご覧ください。

民間団体
子どもの虐待防止を目的として、全国各地の民間団体で様々な活動が行われている。任意団体からNPO法人まで組織の形態・規模も様々である。