全国自立援助ホーム連絡協議会会長  「えんどうほーむ」 遠藤 浩

Profile:昭和22年生まれ、演劇関係の仕事の後、1991年に横浜市より自立援助ホームの運営を依頼され準備に入る。1992年1月横浜市自立援助ホーム「えんどうホーム」開設し夫婦が中心になって運営をしている。全国自立援助ホーム連絡協議会 会長著書・「虐待を受けた子どもへの自立支援」共著(中央法規出版)他 。

自立援助ホームって?

自立援助ホームって?

-帰れる場所のない子どもたちの心の安全基地-

「自立援助ホーム」という名前すらご存じない方も多いと思いますが、自立援助ホームというのは働く子どもたちのための施設といってもいいでしょう。児童養護施設や児童自立支援施設、あるいは高齢児になってから家庭が崩壊してしまい居場所がなくなってしまった子どもたちが自立できるようにと支援していくことを目的としている事業です。今までは15歳から18歳までという壁がありましたが、今回の児童福祉法の改正で20歳未満の子どもたちまでを受け入れることが可能になりました。現在の家庭の子どもの自立が25歳から30歳といわれている中で15歳~18歳で、自立を強いられている子どもたちは心細さを抱えたまま大人の世界に放り出されています。
ホームに来る子どもたちの多くの子が自尊感情を持てないままで来ます。自分はこの世にいていいのだろうか、自分なんていない方がよかったのではないかという問いを抱えて苦しんでいます。しかし、自立心はこの自尊心(感情)がなければ決して育っていきません。自分は自分のまま、何かができなくても、失敗しても、何であれ、いていい存在であると自分のことを大切に思えることが自尊心です。多くの赤ちゃんは何もできないのに親から、周囲の大人から迎え入れられ、存在することだけで喜ばれ、愛されます。そういった無条件の受け入れをなされなかった子どもたちが自尊心を持てずに苦しんでいるのです。

自立援助ホームの第一番目の仕事はこの「無条件の迎え入れ」から始まります。簡単にはいきませんが、何々ができるから良い子、何々ができないから悪い子という分断線を私たちが捨てて、子どもたちと向き合うことからホームでの生活が始まります。私たちが何かをするということはあまりありません。全員一緒に美味しい晩御飯を楽しく食べて、子どもも、大人も一緒になっていろいろな話を毎晩々々しています。そういった時間が過ぎて行くと、子どもたちの心は、やがてほぐれはじめ私たちとの関係も密度が高くなっていきます。無条件で受け止められていることを知った時、自尊心の小さな芽が発芽してきます。小規模のホームでの生活は家庭での生活と変わらなくなり、出た後も実家のように思って帰ってきてくれる子どももたくさんでてきます。自立心は施設や家庭を出るときに突然起きるものではありません。周りの大人から無条件で受け止められることを経験し、しっかりと自尊心が育ってきたときにはじめて自立心の芽が出始めます。そしてその自立心は年とともに変わり、年齢に沿って発達していきます。人生にはいくつもの危機があります。それを乗り越え発達していくためには、何か危機にぶつかったときにはすぐに戻れるお母さんの膝のようないつでも帰れる家、いつでも相談できる大人のいる「心の安全基地」がなければなりません。自立援助ホームは子どもたちの「心の安全基地」となって子どものほうから断ち切らない限りホームを出た後も援助を続けています。

義務教育を終了した15歳から20歳までの子どもたちの生活の援助や就労への援助を行い、自立を促す施設。昨今20歳未満での就職は中々厳しい現状がある。